VOL.4 30代以降に学んでおくべきこと(座学編・後編)
徳重さんは、「生き方がかっこいい」と自分が思える人をベンチマークにすることを参加者に勧めたうえで、こう話されていました。
「……経営者というより、プロフェッショナルとして仕事のできる人も同じですが、孤独感とか、周囲から反対されても行くときは行くみたいなことがありますよね。それは結局、フィロソフィー(哲学)みたいなところだと思うんです。生き方ですね。だから、『生き方がかっこいい』と思う人をベンチマークすることです。誰をベンチマークするかは、その後の成長にすごく大きい要素になると思います。……」
もちろん、成功した経営者をただ同じように真似しても成功できるわけではありませんし、そもそも環境が違うわけですから、そのすべてを鵜呑みにするのは危険です。しかし、自分の環境に合わせてきちんと読み解いていけば、先人経営者の恰好の生きた教材になりますし、モチベーションにもなる。たくさんの本を読んでいけば、そこに共通する真理が見えてくるはずです。
もう一つ、50歳前後になったら、今一度、「歴史」を深く学び直すべきでしょう。歴史を学ぶことで、今自分がいる場所や、文明や人間社会のうねり、人間の行動原理、失敗の法則などを長いスパンで理解できるようになります。実際、私自身がその年齢になりましたが、感覚的に、以前よりも大きなスケール、長いスパンで物事を捉えることが腑に落ちてきたと思います。
このように、経営者やリーダーは学び続けなければなりません。環境や立場の変化に対応していかなければいけないからです。そのためには、自らを常にアップデートしていることが必要であり、名経営者と言われる人々も、凡人が知れば驚嘆するほどの努力をしています。
にもかかわらず、ご本人がそれを苦にしないのは、高い志を持っており、かつ、学び続けることが日常の中の「習慣」になっているからでしょう。逆に言えば、学びを習慣にできた人だけが、名経営者への道を歩むことができるのです。
人生100年時代、経営者デビューのチャンスは何度もあり、「もう遅い」ということはありません。ぜひ、今日から「学び続ける」ことを始めてください。
(構成・文/津田秀晴)
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