VOL.5 リーダーが禅を学べば、組織が大きく変わる。(5/5)
井上 最後に一つ。歴史的に見ると、座禅は武士階級に好まれていた印象があって、その意味では、どちらかというと、座禅はリーダー向きなのかなという気がします。スポーツの世界では、先日お亡くなりになった星野仙一さんなどがそうですが、リーダーとなったタイミングで始められる人も多い。
島津 戦国武将なども出家して禅をしていたわけですし、最近でも著名人の方がたくさんされています。リーダーにこそ一番必要なものかもしれませんね。ただ、僕は自分もただの一兵卒の平社員から上がってきて、その間にたくさん苦労もしているので、そういったリーダー以外の人たちにもわかりやすく伝えていきたいんです。例えば、禅の話を絵本のような形にして、それを子育て中のママさんたちに読んでいただけたらいいなあと考えています。
井上 この対談でも何度か出ているように、それぞれの立場で、禅に求めることや出会うタイミングは違いますからね。経営者には経営者の、従業員には従業員の、アスリートにはアスリートの悩みがありますし……。
島津 そうなんです。いろいろな立場の方にお伝えしたいのですが、周りへの影響力ということを考えると、経営者層の方たちやトップアスリートの方たちにはぜひ禅に触れていただきたいです。リーダーの方たちが学べば、世の中が変わります。経営に活かしていただけたら、会社が変わる。経営トップがカリカリせず、平常心で、ちゃんとコミュニケーションを取ってくれれば、救われる世の中のビジネスパーソンはたくさんいるわけですから(笑)。
井上 経営者も投資をしなければいけないと思うんですが、一日の中のちょっとした時間を、瞑想に使うことも投資ですよね。そういう場面を、意図的に自分のスケジュールに入れることは大事だと思っていて。例えば、週末や早朝・深夜にわざわざジムへ行くのも同じことです。自分のためですよね。特に座禅については、僕の感覚から言っても、定期的に半日くらい取って強制的に時間を作らないと、なかなかできないと思います。
島津 座禅は、一人でやるのがなかなか難しかったりします。だから、定期的にそういう「場」に身を置くことを強制的に自らに課すのを、リーダーの方、経営者の方にはおすすめしています。例えば、月に一度はその場に行って30分座る――とか。
井上 禅も、座禅も、誰でも知っている言葉ですが、その中身や効用については意外と知らないですよね。始めるには何となく敷居が高い。でも、僕も最近体験してみて、これはもっと広がるんじゃないかと思いました。
島津 私も実際、研修の受講者の皆さんに「マインドフルネスって知ってますか?」と尋ねても全然知らない会社もまだまだたくさんありますし、なかには「禅って宗教ですよね?」と言われることもあります。まだまだそういう人の方が圧倒的に多いです。しかし、これから3年、5年すれば、どんどん広がって行くと思っています。日本だけではなく、これから高齢化が進む中国などでも急激にニーズが高まっていくと思いますね。インドで生まれ、中国を経由して日本に伝わった禅を日本からまた中国に伝えられたら、それはまた素晴らしいことだと思います。
井上 今回は気づきの多い話をありがとうございました。とても面白かったです。

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