VOL.5 リーダーが禅を学べば、組織が大きく変わる。(5/5)
島津 そうですね。混然一体となっているものをきちんと見て、認識できるようになると楽しくなります。いろんな問題が起こっても、生きるのが楽になるんですね。経営も含めて。
井上 そこに気づいて深掘りをしていくのが、禅を取り入れていらっしゃる経営者やリーダーの方に共通することなんでしょうね。
島津 はい、数値的な目標を掲げて走るやり方は、右肩上がりの時代にはそれなりに機能したと思うんですね。同じものを大量生産で作って、何個売るか、何人で売るか、いつまでにやるかということが通用していましたが、今、そういうことばかりしていたら、ある日突然全く売れなくなってしまうこともある。また、そういった定量的な目標、国で言えばGDPなども含めてのことですが、果たしてそれが本当にいいのかということですよね。むしろ、目標設定をすることによってそれに縛られて、チャンスロスすることを考えなければいけない時代に入ってきていると思います。
そうなって来ると、新しい物を生み出していくアイデアなどが重要になりますから、禅をすることによって、よりクリエイティブな思考を磨いていくのもいいし、あるいは、思考の枠を広げることで、思いもかけないシンクロニシティ的なコラボレーションが生まれるかもしれません。いずれにせよ、いろいろな人たちとネットワークを作ってその中で掛け合わせていくことが必要です。そうしないとなかなか生き残れない時代になっていますからね。

島津 そうですね。「不易流行」という言葉があります。流行するものと変わらないもの、変えなければいけないものと変えてはいけないもの――。経営は、この仕分けが一番大事です。そういった力は、座禅をしたり、禅を学ぶことの中でだんだんと身に付いていきます。自分の軸ができると判断ができるようになり、ジャッジに迷いがなくなっていく。そうすると業績は自然と上がりますよ。
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