秘密のマッチ
作 ・ 井上和幸
もしも。
マッチ売りの少女が落としていった
夢の見れる「秘密のマッチ」を
とある街角で拾ったとしたら。
きみは、 いったいどんな夢をみるために
マッチを擦るだろう?
おれだったら。
1本目は、マンハッタン一高い
ペントハウスに住む夢を。
(まさに、トランプタワーだね(笑)。)
冬はセントラルパークに積もる雪を見ながら
ジャズに埋もれて、グラスを傾ける。
2本目は、感動を後世に残すような
作品の完成を。
その作品に、みんなの想い出や思想が
積み重なっていくような。
達郎の「クリスマス・イブ」や
フィッツジェラルドの「グレートギャツビー」。
そんな作品を残すためだけに
いまがあるはずだから。
あるいはそれは、
素晴らしい建築物かもしれないし、
あるいは、
素晴らしい事業・商品・サービスといったもの
かもしれないね。
そして。
残りすべてのマッチを燃やして
きみのための夢を見よう。
どんな中身かって?
それは、きみの想像力に火をつけて
おれに教えて欲しい。
どこかの街の、どこかの道端で
きっと今日もマッチ売りの少女が
手をかじかませながら、「秘密のマッチ」を
売っているはずだ。
そんなことを考えると、なんだか
わくわくしないかい?
2016年12月24日のきみとおれに、
メリークリスマス!
(そう言って、その男は、
ポケットからマッチ箱を取り出して、
マッチの束を一気に擦った。
シュボッ!!
あなたの目の前に差し出された火の中から
浮かび上がってきたものは……?!)