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特集記事・コラム

VOL.4 「社外経験」「出戻り経験」がこれからの経営者の条件に!?(4/5)

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井上 最近のプロ経営者をテーマにしたいのですが、小杉さんなりに何か思われていることはありますか?

小杉 最近、大きな話題になったのは、日本マイクロソフト(会長)からパナソニックに行った樋口泰行さん(専務役員、コネクティッドソリューションズ社社長)――彼は留学仲間で、僕がアップルにいるときに採用して来てもらいました―――は、今回、形としては出戻りですよね。彼が会社に与えるメリットは、会社の事を良く知っている外部者であるということです。もともと同社の技術畑で現場にいた人間が、コンサルもやって、外資の経営もやって、流通もやって、マイクロソフトもやって、そのうえで古巣に戻って来ているというのは、会社にとってはすごい財産なんです。
日立製作所の川村隆さん(元社長、現在は東京電力ホールディングス取締役会長)もそうですね。彼は辞めたわけではないけれど、子会社に転籍して3社で社長をやってから、お家の一大事に呼び戻された。このケースも外の視点を持っていたからこそ、同社の特殊性に気づき、変革ができたと言えます。川村さんは、『私の履歴書』(日本経済新聞)に、「生え抜きの人間がトップになる時代はもう終わった」とも書かれていますよね。

井上 樋口さんは僕も面識いただいていますが、今回の件は驚きました。と当時に、なるほど!とも思いましたね。意図してやるのかは別としても、もともとそこでまず育ち、外に出て、別の経験で肉づけをした人が、元の、いわゆる新卒で入った会社の経営をやるというのはとても興味深い。

小杉 これは日本の会社が新卒一括採用をしているからできることでもありますよね。

井上 僕自身、リクルートを退職した後、子会社のエグゼクティブサーチ会社に、ある意味「出戻った」経験があります。確かにやりやすかった印象があります。親会社のリクルートやリクルートエージェントの経営陣やキーマンとなる人が皆、昔お世話になった先輩方たちでしたからね。彼らからしても僕を使いやすかったと思います(笑)。

小杉 例えば、樋口さんのケースも、外資系バリバリのコンサルが乗り込んで来たら、社員たちはアレルギー反応を起こすと思います。樋口さんに関しては、「うちに元いた人間だから」と先輩たちが許容していたのは、とても大きいと思いますね。

井上 なんだかんだ知っている人がいますからね。同じ釜の飯を一緒に食った人が……。

小杉 役員でまだ残っていたりするから。そこが日本版のプロ経営者の1つのモデルだと思うんです。純粋生えが抜き培養型の経営者では、変革はできないですよ。今後、ますますそういうことが必要になってくる。「出戻り」が経営者の条件になって来るのでは?

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井上 そうですよね。プロパーで行くにしても、これまでよりも激しく出向させる感じでしょうね。
ところで、うちは去年から数千億規模の会社のトップマネジメントをお手伝いさせていただいています。今のところ海外子会社の社長をご紹介することが多いのですが、そのクライアント企業は、これまで外部から経営者を呼ぶなんて考えたこともない伝統企業なんです。
ただ、現状を見ると、オーナー的な会社ということもあって、トップの指示を遂行するという意味では、すごく優秀な人たちが余るほどいる一方で、方向転換やギアチェンジをするときに、トップとしてリーダーシップを発揮できる人材がいない。それで、「プロ経営者にどんな人がいるのか見てみたい」という話になって、ご要望に沿った人をご紹介したところ、まだ初動の段階なんですが、その方が凄くいい動きをしてくれて、次々とグループ内のクリティカルな企業トップ人材をご紹介する流れになっています。プロ経営者がトリガーになると気づけば、そうした企業は増えるでしょうね。

小杉 私自身、数社の社外取締役を務めているんですが、社外取締役からの視点で見ると、生え抜きの人たちだけでやっているのは心配な面があります。業界の垢に染まりきっていて新しい物ができないように見えてしまう。だから、そういうプロ経営者に入ってもらうというのは、外部視点で見てもいいなというふうに思いますね。

小杉俊哉
(こすぎ・としや)
合同会社THS経営組織研究所 代表社員/慶応義塾大学大学院理工学研究科 特任教授/立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科 客員教授
早稲田大学卒業、NECを経てマサチューセッツ工科大学に私費留学、経営大学院修了。帰国後、マッキンゼー、ユニデンおよびアップルの人事責任者を歴任し、独立。
慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授などを経て、現職。他にエスペック株式会社、ふくおかフィナンシャルグループ・福岡銀行など数社の社外取締役を務める。
専門は、人事・組織、キャリア・リーダーシップ開発。組織が活性化し、個人が元気によりよく生きるために、組織と個人の両面から支援している。
井上和幸
(いのうえ・かずゆき)
株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
早稲田大学卒業後、リクルート入社。コンサルティング会社取締役、リクルートエグゼクティブエージェントマネージングディレクター等を歴任。2010年経営者JPを設立し、現職。

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