2017.04.10
VOL.9 成功する経営者の意思決定
ある経営トップが語っていたのが。ひとつの方法だった。彼はこう語っていた。
「部下から次々と意思決定を求められる。選択肢は複数があるが、どうするか。しかし、最初はやっぱりわからない。考えるほど、時間ばかり経ってしまう。実際、対応が遅れてしまう失敗もあった。ただ、そういう経験を繰り返すうちに、わかっていった。なるほど、自分がうまい結果を残せた意思決定には、共通項があるな、と」
振り返って考えてみると、うまくいった意思決定で重視した判断基準はシンプルに2つだった。ポジティブシンキングであること、強みを活かすこと。うまくいっているときほど、強くそこにこだわっていた。
だから、思考する上で、この2点を大事にするようになった。結果的に、うまくいく確率も高くなっていった。
もうひとつ、別のある経営トップが語っていたのが、こんな考え方だ。彼はこう語っていた。
「経営に不可欠な視点は、極論すると2つしかない。“本当にそうなのか”“どうしてそうなのか”。だから常にこの2つを問い、突き詰めていく。すると、だいたいの問題について答えは見えてくる」
あるとき不採算の新規事業を率いることになって、それを実感したという。社員からは、製品に問題があるから売れない、という声が上がっていた。しかし、彼は社員に問い続け、自分でもこの2つを考え抜いた。すると、課題はまったく別のところにあることが見えてきた。新規事業は大きな成功を遂げる。
「最も怖いのは、わかったつもりになること。ビジネスが理解できてくると、これってこういうことだろうな、とそれまでの経験や外部から得た情報などと勝手にひもづけて結論づけてしまいやすい。ここに落とし穴がある。必ずゼロベースで“本当にそうなのか”“どうしてそうなのか”を突き詰める。そうすると自分の仮説にも論理破綻があることが見えてきたりする」
これは、考え抜くことで、シンプルな方法に到達する、ということでもある。方法論を持っていれば、強い。