2017.03.20
VOL.6 成功する経営者の習慣
数日間、密着して経営者を追いかける雑誌の企画だったが、朝、出社した彼が真っ先に向かったのが、社長室の壁に据え付けられていた神棚だったのである。そこに毎日、正しい拝礼で手を合わせていたのだ。
元外資系銀行と神棚が、なかなか一致しなかった。「どうして神様に手を合わせるのか」という質問に、彼らはさらりと答えた。
「最後は神様が決めるんですよ」
単なる神頼みではない。何でも自分でできる、という傲慢さに陥らないよう、日頃から自分を律していたのである。
別の外資系コンサルティング会社出身の社長も、社長室には大きな神田明神のお札が飾ってあった。社長はこう語っていた。
「人間にできることは、たかだかしれている」
本当に優れた経営者ほど、自分にできる限界を理解しているのかもしれない。だから、最後は神様に任せるのだ。
習慣でもうひとつ、印象深い取材があった。若くして上場し、苦労しながら会社を大きくしてきた起業家がいた。同じ時期に上場した経営者の多くは、もう表舞台からは姿を消してしまった。そんな中で、なぜ彼の会社は、今なお成長し続けられたのか。
その理由を問うと、「同年代の経営者とつるまなかった」ことをひとつに挙げた。お山の大将同士で遊んでいれば、楽しい。同年代なら友達関係で付き合える。しかし、彼が選んだのは、あえて面倒な年上の経営者と付き合うことだった。叱ってくれる人、うるさい人に飛び込んでいったのだ。
だから、彼は成長することができた。自分を快適なところに置かなかったからこそ、自分を見失わずに済んだ。今もこの意識は変わっていない。だから、経営者としてのステージは確実に上がっていった。
付き合う人のレベルが、その人のレベルを決める、という言葉もある。どういう人と付き合うかで、経営者人生も大きく変わる。