TOP 経営者力とEQの相関関係を読み解く 経営者の「怒り・感情のマネジメント」が一番のリスク管理になる時代。(3/5)

2017/06/06

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経営者力とEQの相関関係を読み解く

第3回

経営者の「怒り・感情のマネジメント」が一番のリスク管理になる時代。(3/5)

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井上 相手の今の気持ちを尋ねることは、とても大事ですね。例えば、「髙山さんとお会いできて何か教えてもらえるんじゃないか?」とワクワクしている人もいるかもしれないし、何か別のことが気がかりな人もいるかもしれない。それによって、相手にまず何を伝えるかが変わってきますね。

 

髙山 もし僕が「会ってワクワクしています」と言われたら、「私に何を期待されていますか?今日はご期待にお答えしたいと思います!」と笑顔で応えちゃいます。あるいは、「EQに興味はあるが金額のことが気になって…」となれば、「じゃあ、今日は金額からお話しませんか!ぶっちゃけ予算はおいくら?」と笑顔、ここ重要です。で、話を進めていくでしょう。今の気持ちを聞くというのは、本音に近いところで話をするということになりますね。
実は、EQを導入する会社では、その成果の1つとして、社内会議が短くなっています。EQを学ぶと気持ちに興味が沸き、相手の本音が気になります。会議でも今のようなやり取りが始まり、「この仕事をお願いしたいのですが?」「なんで私なんですか?考えさせてください」このやりとりで、結果はわかりますよね。相手はやりたくないのです。考えても結果は同じなので、その時点で違う方法を提案する、今回は我慢してやってもらい、その借りは必ずお返しするね、と約束して、やってもらう。いつもより早く答えを出すことに繋がり、結果、会議時間の短縮に繋がっています。

 

井上 たしかに、相手の気持ちを確認しないで話を進めていて、いわゆる押すべきボタンを間違えたまま打ち合わせをした結果、ドタキャンされた――というケースはどこにも転がっていますね。

 

髙山 例えば、商談で断られて戻ってきた営業マンが、「今回は断られました。あれだけ良いって言っていたのに……」と報告をしてきたときに、「気持ちは聞いた?」と確認すると、「えっ? 相手の気持ちは聞けませんよ」と言う。聞けばいいのに……と僕は思うんですよね。「良い」の裏にある「本当の気持ち」を。「じゃ、次は契約ですね!」と言って、相手の態度を観る。本当の気持ちは言わなくとも、態度や行動に出ていますから、よく観察すれば表に出ている言葉より本音がわかります。

 

井上 僕らがやっている人材紹介の、クロージング局面がまさしくそうですね。

 

髙山 とはいえ、相手の気持ちを尋ねるのは、慣れていないととても難しいんですよ。井上さんくらいだったら、もちろん聞いていると思いますけどね。

 

井上 僕はストレートに聞いてしまいますね(笑)。「ぶっちゃけ、良いと思ってます?」とか「何番目で考えてます?」とか……。

 

髙山 ですよね(笑)。ただ、みんなが聞けるのかというと、これはなかなか高度な話です。本当のところを聞くのも怖いし、一回のやり取り程度では、相手も言いませんからね。ストレートに聞けない人は、やり取りしながら本音を聞き出さなくてはいけない。

 

井上 トップセールスになる人は、言葉以外にも、相手の態度などを見ながら、そこを見抜いていきますね。

 

髙山 彼らは、ダメだなと思ったら、なぜダメなのかの確信を取るために、いろんな質問をぶつけます。究極は「じゃあ、タダだったらやりますか?」ですよ。そこで相手の本音が出てきたりする。できる営業マンはそういうことができるんですよね。本当の気持ちが聞けるか聞けないか、ここにトップセールスと普通の人との境界線があるように思います。

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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  • 髙山 直氏

    髙山 直氏

    EQ Executive Master/株式会社 EQ 取締役 会長

    1990年、米国で提唱されたEQ理論を日本で初めて紹介し広める。個人のやる気や情熱、「志」などの潜在的な能力や可能性が学歴に関係なく、公平、公正に判断される社会の創造を目指して、1997年、株式会社イー・キュー・ジャパンを設立し、日本で初のEQ事業をスタートさせる。EQ理論提唱者のエール大学、学長ピーター・サロベイ博士、ニューハンプシャー大学ジョン・メイヤー博士との共同研究で、EQ理論に基づいた「個人の自立と成長を支援する」プログラムを開発。2015年、株式会社EQを設立、現職。

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