TOP これからのリーダーシップ、プロ経営者論 ただ言われたことをやって一生終わるか?それとも、会社を使い倒して結果的に評価されるか?(2/5)

2017/08/22

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これからのリーダーシップ、プロ経営者論

第2回

ただ言われたことをやって一生終わるか?それとも、会社を使い倒して結果的に評価されるか?(2/5)

  • スペシャル対談
  • リーダーシップ
井上 1990年代になって変革者タイプの「リーダーシップ2.0」が登場した。しかし、変革や結果に対する過剰な圧力などによって、組織はギスギスし、メンタルも増えた。そこで、また昔のようなコミュニティのあり方が注目されているわけですが、Googleの研究などもすごく面白いですよね。彼らがあれほどのテクノロジーを持った会社で徹底的に大量の人員とお金を投下して、どういうやり方が一番生産性が高いかを解き明かしてみたら、意外と日本企業が昔やっていたようなことが一番良い、みたいな結論になっている。

 

小杉 アメリカの先進的な企業や学者が分析をして、「やっぱりそうだよね」という話なんですが、その後、日本企業は、個人のレベルでも目標管理制度を入れて成果を取るようになりました。管理職も、管理職ではなくて、プレイングマネージャーになった。その中で職場がどんどん機能化し、結果的にコミュニティ意識を排除していったんですよね。すると、どういうことが起こるかというと、人間がやっていることとして思えなくなっている。部下にとって、上司は、あくまで「上司」であって人間じゃないんですよ。
昔は「人間」だったんです。運動会をやれば、上司が不格好に転んだり、思いのほか活躍したりしました。社員旅行に行けば、酔っぱらって裸踊りしたり、卓球が上手だったりした。あるいは、上司の家に行ってごちそうになると、実は奥さんに頭が上がらないこともわかった。そんな人間的な側面を見る機会がたくさんありました。しかし、今は、それがどんどん排除されたんですね。

 

特に21世紀に入ってから、日本企業は、機能的に、単一の会社として効率や成果をあげることを、アメリカ企業以上にやってしまった。だから職場がギスギスして、人間の営みではなくなり、コミュニティ意識が持てなくなって、悩みが増え、簡単に辞めるようになってしまった。むしろアメリカ以上に進んでしまったというのが、私の懸念なんですよね。
アメリカなどは、グーグルのような先進的なところだけでなくても、オフサイトミーティングを頻繁に開きます。それって半分は遊びじゃないの?という感じです。また、お互いに精神性を高め合うために、目隠しして手をつないでアクティビティをしたり、景色のいい海や湖の近くでさまざまなことをして関係性をつくったりするのがチームビルディングですよね。そこに、お金も時間もすごく投資している。一方、日本はそこを今まったくやっていない。

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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  • 小杉 俊哉氏

    小杉 俊哉氏

    合同会社THS経営組織研究所 代表社員

    早稲田大学法学部卒業後、日本電気株式会社(NEC)入社。
    マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学大学院修士課程修了。
    マッキンゼー・アンド・カンパニー、ユニデン株式会社人事総務部長、アップル人事総務本部長兼米アップル社人事担当ディレクターを経て、39歳で独立。
    慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授などを経て、合同会社THS経営組織研究所を設立。元立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科客員教授。慶應義塾大学大学院理工学研究科特任教授。
    著書に、『起業家のように企業で働く』、『リーダーシップ3.0』などがある。

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