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特集記事・コラム

VOL.1 イマドキ上司に求められる「内発的動機付け」とは?(1/5)

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井上 前川君とはリクルート時代の同期ということで、今回の対談はフランクにやりましょう。FeelWorks(フィールワークス)さんの創業は、当社のちょっと前、2008年だったよね。そのときの思いというか、考えていたことからまずは改めて聞かせてもらえますか?

前川 そのときの僕の問題意識は、「中長期的に若い人たちがイキイキと希望を持って働いていけるよう応援したい」というものでした。というのも、僕は、2005年~2007年に就職支援サイトの『リクナビ』統括編集長をやっていて、今はもうなくなってしまった『リクナビカフェ』という伝説のメールマガジンを作っていたので。就職前後の若者の本音を聴き続ける中で、学生にとって就職はゴールではなくてスタートなのに、その後、現実にぶつかってドロップアウトしてしまう人たちが結構いることが気になって仕方がなかった。当時は、『若者はなぜ3年で辞めるのか?年功序列が奪う日本の未来』(光文社新書)がベストセラーになるなど、若者の早期離職が問題になった時代背景もあったよね。
僕自身も管理職をやっていたし、企業をいろいろ見てわかったのは、企業に人を育てる余裕がどんどんなくなっていたこと。バブル崩壊後アメリカから入ってきた成果主義は上手くいかず、軌道修正はなされたけれど、短期的な業績のプレッシャーから、人を育てることの優先順位がどんどん下がってしまうという現状があった。そもそも、日本が戦争に負けて戦後の焼け野原から奇跡の復活・高度成長を成し遂げたのは、国が教育を軽視する一方で、気骨ある企業・経営者が未熟な若者を採用し育ててきたから。「その『人が育つ現場』が廃れつつある現実を何とかしなければいけない」というのが、FeelWorks創業の思いだった。

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井上 若い子のキャリア支援からスタートして、その後、企業内教育へと足場を移していったよね。

前川 僕の性分として、「就活対策講座はやりたくない。それよりも働く未来を伝えたい」と思って若者支援を始めた。でも、それが軌道に乗らなかった理由は2つあって、まず、お金のない若者から受講料をいただくということがどうしてもできなかった。逆に、持ち出しみたいなことになって、これはビジネスにはならないな、と(笑)。
もう1つは、若者たちの希望を育み働く動機付けをしても、それぞれの会社に戻って行ったら上司と上手くいかなくなって、結局辞めてしまうということがあった。それに、僕自身も管理職として人をたくさん育ててきたからその苦労がわかるけど、上司自身も部下の指導や育成に悩んでいる現実を痛感した。そうなると、上司の育成力を支援していく方が、結果的に若者たちのためにもなるし、ここにはB to Bで企業内教育というマーケットがあるのでビジネスが成り立つと創業3年目くらいに気づいたんだよね。創業前の2006年に『上司力トレーニング』(ダイヤモンド社)を書いてヒットしていたこともあり、「上司力」というコンセプトにこだわって10期目に入ってきたという感じかな。

井上 前川君から見て、上司の悩みというのは、この10年間変わってないんだろうか?

前川 「今どきの若者論」というのはローマ時代からあるというし、根本的には上司の悩みの構造は変わっていないと思う。ただ、10年前とは環境が如実に変わってきているよね。
1つ目は、グローバル競争の波が来るなどして、スピードが求められるなかで、部下を育てることの大切さはわかっているけれども、時間がかかるため、できていないこと。
2つ目は、長く就職氷河期が続いてしまったがゆえに、30代と40代初めのくらいの中間層の社員がごそっといないこと。シニア層が「最近の若者がわからない」と言いながらも、中間層に人がいれば、彼らが間に入って翻訳してくれた。しかし、今はそこがいない。
3つ目は、少子化。そもそも45年前と比べて15歳以上人口のシェアが半減以下になっていて、いわゆる就職氷河期に厳選採用していた20数年の間に若者が如実にいなくなっていたことに企業が今慌てふためいている。平成の初期までであれば、若者を大量に採用し仕事の厳しさに耐えられる者だけ育てればよかったかもしれないけれども、今は採用して育てようにも、そもそも若者がいない。
4つ目は、ダイバーシティ。かつてのように新卒で採った男性の集団をつくるのではなく、女性やシニア、外国人、非正規雇用者など、いろんな人たちに総力戦で活躍してもらわなければいけない時代になっている。この環境の変化が、上司の悩みをさらに増幅させているという感じがする。

前川孝雄
(まえかわ・たかお)
株式会社 FeelWorks社長・株式会社働きがい創造研究所会長・青山学院大学兼任講師
「コミュニケーションが人と組織を変える」をスローガンにする人材育成の専門家集団(株)FeelWorksグループ創業者。兵庫県生まれ。大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒業。リクルートを経て、2008年に「人を大切に育て活かす社会づくりへの貢献」を志に起業。独自開発した「上司力研修」「上司力鍛錬ゼミ」や「人を活かす経営者ゼミ」、「育成風土を創る社内報」などを手掛け、300社超で「人が育つ現場」づくりを支援している。ミニドラマを用いた「働く人のルール講座」、「キャリアコンパス研修」、「女性幹部リーダー養成研修」など、時代性を踏まえた先進的な研修プログラムも提供している。2017年に中小企業支援の(株)働きがい創造研究所を設立。『上司の9割は部下の成長に無関心』『「働きがいあふれる」チームのつくり方」などベストセラー著書多数。
井上和幸
(いのうえ・かずゆき)
株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
早稲田大学卒業後、リクルート入社。コンサルティング会社取締役、リクルートエグゼクティブエージェントマネージングディレクター等を歴任。2010年経営者JPを設立し、現職。

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