FEATURES

特集記事・コラム

VOL.3 あの人が、1日10冊の小説を楽しめる理由(3/5)

1 / 2 ページ

井上 これまで、実践的な読書の方法についてうかがってきましたが、そういえば日本の学校教育では、読書の仕方というのはあまり習いませんよね。

寺田 第1回で「読書戦略」という言い方をしましたが、海外では小学校で学ぶことです。地域や先生によって温度差はあるようですが、「リーディングストラテジー」という言葉でちゃんと語られている。おそらく、小中学校で読書教育が採用されていない先進国は、日本だけでしょう。OECD加盟国の中で学力を比較すると、日本の生徒は表面的な読解問題はサクサク解いて上位に行きますが、思考推論みたいな問題では劇的にダメなんです。
衝撃的な事実に、日本の小中高校生における、「本を読む量」と「国語力・学力」の相関関係を調べたデータがあります。それによると、まず本をほとんど読まない子と、週に1冊読む子では学力に大きな差がありました。これは当然でしょう。
では、週1冊読む子と、週2冊読む子とでは、どれくらいの差があったと思いますか?

井上 普通に考えれば、読書量が多い方がそれだけ伸びそうに思いますよね。

寺田 それが、ほぼ伸びないんです。週3冊くらいの子になると、逆に学力が下がる。これは先進国で稀なデータです。

井上 なぜそうなるんでしょう?

寺田 海外の学校では、本の読み方も学びますし、どんな本をどうやって手に取るかも教わります。旅行ガイドの読み方まで扱うんです。「この旅行ガイドを読んで、〇〇君に旅行プランを作ってあげなさい」というテストが出たりします。作文としてブックレポートの書き方まで、小学生くらいで教わります。
一方、日本の国語の授業は、物語文の鑑賞が多い。説明文も扱いますが、ロジカルな読み方を教えません。だから、本を読めば読むほど学力が下がる、というデータになる。というのも、本を読んでいる子は、自分の好きな作品やカテゴリーだけをどんどん読んでいくからです。その結果、読み方が雑になり、語彙が広がらない。かつ読書に時間が取られて勉強が減る、というわけです。
ただし、例外もあります。多岐にわたるジャンルの本を読んでいる子だけは、読む冊数に比例して学力が伸びていました。学術的に何が要因なのか定かではないのですが、観察するとそうなっている。私も読書教室をやっていますが、読書教室の子と一般的なデータをさらっていくと、やはりそういう傾向があるように感じます。

写真 2018-04-23 12 28 04

井上
 この対談シリーズの他の回で話題になったのですが、海外の子供は学校の授業の中で話し方の訓練を受けているけれども、日本では教えていないんですね。そのため、話し方に大きな差ができてしまう。この例は技術的な問題なのでしょうが、読書と全く一緒ですよね。

寺田 そうですね。私は大学生の就活も指導していますが、彼らは自分をどうプレゼンするかも学んでいないし、しゃべり方も学んでいない。読書や作文も含めて、子供たちには普遍的なスキルとして、ちゃんと身に付けさせなければいけないと心から思います。

寺田 昌嗣
(てらだ・まさし)
ビジネス・教育のための速読技術・高速学習法指導者

1970年、福岡生まれ。名古屋大学(法)卒。元福岡県立高校教師。
高校2年生の秋に日課の立ち読みで速読と出会う。
1年にわたりトレーニングに励むも撃沈。さらに計4つの教室での挫折を経て、7年後に独学で速読をマスター。
同時に、教師現役時代からオンライン講座を無料で開講。募集のたびに5倍の応募が届く人気講座に。
2001年10月に独立し、速読メソッドの指導と普及にあたる。これまでの受講者は1700人を超え、その修得率は98%超。スピードと理解度を両立させた実用性の高さが評判となり、ビジネス書作家や大学教授らがクチコミで多数訪れている。
また7つのライバル業者から顧問や技術指導の依頼を受けるなど、業界内での信頼も厚い。
2014年度から日本で初めて大学教育に授業として速読講座が採用され、通年の読書講座として開講。
速読と読書で日本の教育を変えることを目指し、2017年度から九州大学の大学院に進学。

読書力と読解力を育むための「ことのば 子ども速読・読書講座」も福岡で開講中。
著書に10万部のベストセラー書『フォーカス・リーディング』(PHP研究所)のほか『子どもの速読トレーニング』(PHP研究所)、『決定版! 超カンタン速読入門』(共著、金の星社)、『英会話音読練習帳』(共著、永岡書店)がある。
井上和幸
(いのうえ・かずゆき)
株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
早稲田大学卒業後、リクルート入社。コンサルティング会社取締役、リクルートエグゼクティブエージェントマネージングディレクター等を歴任。2010年経営者JPを設立し、現職。

他の記事を読む

VOL.2
3つの読書の使い分けが、あなたを飛躍的に成長させる。(2/5)
井上 寺田さんが提唱されている速読法「フォーカス・リーディング」は、非現実的な超高速の読書ではなく、【①スキーマ(脳内のデータベースの量)、②心身のコントロール技術(禅的な心身の使い方)、③フォーカス...
more
VOL.1
リーダーであれば必ず身に付けたい「最も実用的かつ実戦的な速読術」。(1/5)
井上 「速読」に対しては、「夢のようなスキルだ」と興味を持つ人がいる一方で、習ってみても挫折する人が多く、「本当に数分で1冊の本が読めるのか?」とか「難しい本でもその内容を正確に理解できているのか?」...
more

ARCHIVE

ALL (3)

2018年 (3)

新着記事を
いち早くお届けします!

株式会社 経営者JP
〒150-0012 東京都渋谷区広尾1-16-2
VORT恵比寿Ⅱ (旧称:K&S恵比寿ビルⅡ )

お問い合わせ ・ ご相談

- 「リーダーシップ3.0®」は、株式会社 経営者JPの登録商標です
(登録番号:第5435135号)
- 「リーダーシップ4.0®」は、株式会社 経営者JPの登録商標です
(登録番号:第5934148号)
- 「経営者ブートキャンプ®」は、株式会社 経営者JPの登録商標です
(登録番号:第5918454号)
- 「エグゼクティブ ブートキャンプ®」は、株式会社 経営者JPの登録商標です
(登録番号:第5934143号)
- 「マネジャー ブートキャンプ®」は、株式会社 経営者JPの登録商標です
(登録番号:第5934145号)
- 「リーダー ブートキャンプ®」は、株式会社 経営者JPの登録商標です
(登録番号:第5934149号)
- 「経営者ワークアウト®」は、株式会社 経営者JPの登録商標です
(登録番号:第5918455号)
- 「エグゼクティブ ワークアウト®」は、株式会社 経営者JPの登録商標です
(登録番号:第5934144号)
- 「マネジャー ワークアウト®」は、株式会社 経営者JPの登録商標です
(登録番号:第5934146号)
- 「リーダー ワークアウト®」は、株式会社 経営者JPの登録商標です
(登録番号:第5934147号)