2018/05/01
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フォーカス・リーディング~生産性高める読書の技術〜
第1回
リーダーであれば必ず身に付けたい「最も実用的かつ実戦的な速読術」。(1/5)
- スペシャル対談
- ビジネススキル
「経営者を語る」――今回は、株式会社J―エデュケーション代表の寺田昌嗣氏(ビジネス速読&高速学習アドバイザー)をゲストにお迎えします。
寺田さんが提唱されている速読法「フォーカス・リーディング」は、非現実的な超高速の読書(疑似科学的なスキル)を排したもの。そのうえで、【読書のスピードは、①スキーマ(脳内のデータベースの量)、②心身のコントロール技術(禅的な心身の使い方)、③フォーカス(何をどんな目的でどう読むかという戦略)という3つの要素の掛け算で決まる】とする、実用かつ実戦的な読書法です。
今回の対談では、エグゼクティブやリーダーの方に向けた、その時々の目的に合った速読のテクニックと、読書の効果を高めることの効用などについて、弊社代表・井上和幸と語り合っていただきました。全5回でお届けします。
井上 「速読」に対しては、「夢のようなスキルだ」と興味を持つ人がいる一方で、習ってみても挫折する人が多く、「本当に数分で1冊の本が読めるのか?」とか「難しい本でもその内容を正確に理解できているのか?」といった疑問を持っている人も少なくありません。また、「速読」というもの自体の捉え方にも、いろいろあるようです。まずは、読者の方々に向けて、「フォーカス・リーディング」を提唱されている寺田さんのお立場から、「速読」について整理していただけませんか。
寺田 承知しました。まず「速読」というものは世の中にたくさんあります。日本だけで二千数百教室。流派という言い方をすると、おそらく10くらい(大きなフランチャイズ展開をしているところは7つ)あります。しかし、心理学的、脳科学的には、既に「速読は基本的にウソだ」という結論が出ているんですね。実のところ。
井上 寺田さんのサイトでは、「右脳を活性化させる」「写真のように文字を写し取る」「眼の動きを高速化する」「視野を広げる」……といった、速読ではよく語られることを「都市伝説であり、一種の疑似科学」だとハッキリ指摘されていますよね。
寺田 はい。ただ、その一方で、速読のできる人は、極めて少ないながらも現実に存在していて、そのような人はどこの流派にもいるんです。確率の問題ですね。ですから、「速読というものはある。速読ができる人もいる。しかし、一般的に習得できるものではない」というのが、速読に関する現段階の結論と言っていいと思います。
井上 なるほど。特別な才能を持った人はできているけれど、誰もができるとは限らない――と。
寺田 そうです。では、私のやっている「フォーカス・リーディング」とは何なのかというと、速読としてよく言われるような「夢を追う技術」ではありません。一字一句ちゃんと精読レベルで読め、記憶もできて、かつ非常に速い――そういう速読は存在しないだろう、というのが私の考えです。
ただし、そういう夢のような速読はないけれど、例えば、「200ページくらいの本だったら、15分くらいで概要をつかめる」、あるいは「丁寧に読んでも、30分くらいで1冊終わる」という速読をマスターできたら、読書が身近になって読書習慣が身に付きますよね。そうすると、どんどん難しくて、内容の濃い本にも手が出るようになっていく。
だから、私の指導している速読では確かに速く読めるようになりますが、速度と同時に読書の質をどれだけ上げられるかということは、あまり気にしていないんですね。要するに、よく言われるような「理解と速さはトレードオフ」の関係にあります。それを認めたうえで、どんな目的でその本を読むのかを明確にして、「速さ」と「質」のバランスをコントロールしていくのがフォーカス・リーディングです。だから、講座では、速読という技術とセットで、本の読み方も指導します。「読書戦略」とか「読書方略」という言い方をするんですが、そういったことも併せて、読書をもっと身近に、もっと価値あるものにしようというものなんです。
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