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特集記事・コラム

2018.04.23 エグゼクティブ / マネジメント

VOL.119 人を間違った方向へと持っていく、4大要因。(前編)

 
どの企業、組織にも、様々な職務があり、各人が果たすべき具体的貢献は多様だ。
しかし、当然のことながら、それらの職務、貢献は、最終的にはすべて共通の目標へと束ねられ、向けられなければならない。

「あらゆる仕事が組織全体の目標に向けられなければ、成果は得られない。特にマネジメントの人間の仕事は、組織全体の成功に焦点を合わせなければならない。一人ひとりの成果が、組織全体の目標に向けられなければならない。彼らの成果は、組織全体の成功への貢献によって測られる。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)

マネジメントにある人たちは、誰もがこのドラッカーの言うことを理解しているし、そうありたいと常に思っているはずだ。
それなのに、なぜ、これは容易には実現されないのだろう?

ドラッカーは、組織には人を間違った方向へもっていく大きな要因が4つあると述べている。

(1)仕事の専門化
(2)上司
(3)階層
(4)報酬

それぞれ見ていきたい。

まず、「(1)仕事の専門化」について。

ドラッカーは、皆さんもおそらくご存知の「三人の石工の話」を例に、分かりやすい喩えをしている。
三人の石工が、何をしているかを聞かれて、「暮らしを立てている」「石切りの最高の仕事をしている」「教会を建てている」と答えた。第三の男こそがマネジメント人材であることに異論はないだろう。第一の男は、誠実な現場要員ではあるが現在も将来もマネジメント人材ではない。

「問題は第二の男である。熟練した専門能力は不可欠である。組織は最高のスキルを要求しなければ二流となる。だがスペシャリストは、単に石を磨き脚注を集めているにすぎなくとも、重大なことをしていると錯覚しがちである。専門能力の重要性は強調しなければならない。しかし、それは全体のニーズとの関連においてでなければならない。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

専門化(専門性を高めること)への努力には危険が潜むとドラッカーは警告を発する。
組織全体としての成果への関心を逸らし、専門的な仕事それ自体が目的と化す。自らの成果を、組織への貢献ではなく、専門的な基準によって評価しようとするようになる。

これを聞くと、かつての日本企業に多くみられた、そして現在もなおそのような評価基準を持っている企業も少なくない、「能力主義」評価の危険性に気づくことだろう。
マネジメントが評価しなければならないのは、彼彼女がもっている専門スキルそのものではなく、その専門能力によってもたらされた成果のほうにあるのだから。

次に「(2)上司」について。

上司の存在がことを間違った方向にもっていくとは、本筋ではない上司の言動、些細な言葉じり、癖や習慣までもが、部下たちにとって「計算され意図された意味あるもの」と受け取られてしまうことにあるのだと、ドラッカーは言う。

上司の様々な(余計な)おもんばかりや、場合によっては勘違い、優先順位の取り間違えが、部下たちを惑わせ振り回す。
残業してでもやり切れと言われれば生産性の低い残業をし、報連相を怠るなと言えば読まれることのない日報作成に時間を費やす。

上司は本質を見て行動して欲しいと思っているが、部下たちが立ち振る舞うのは、言葉じりに出る手段や作業のほうばかりに対してだ。

「この問題を解決するには、全体の目を仕事が要求するものに向けさせる仕組みが必要である。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

ことほど左様に、マネジメントがよかれと思っている方向、こうあって欲しいと願っている方向とは真逆に、組織行動は促されてしまうものなのだ。

(続く)
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