
「成長は、全てを癒やす」それがビジネスパーソン人生の真実
生きていれば誰でも将来に不安を覚えることはあるだろう。しかし、自分で目標をたて毎日成長を続ければ結果が付いてくる。そして自分らしさを発揮するための「実力派あまのじゃく」を目指してほしい。
9月末に『なぜか仕事ができる人の「成長のルール」』(PHP研究所)という新刊を出した。本書は、そもそも2004年に出版した「30歳からの成長戦略」(PHP研究所)を元に、今回、図解を多用した内容に再編集した著作である。なぜ、今また「成長」を取り上げたのか?
不安にさいなまれる日々
世界の金融・経済情勢、我が国の将来、そして自分の働いている業界、事業、仕事について考え始めると不安にさいなまれる。不確定な変数が多すぎる。自分なりに将来について考えてみようと思っても、条件が複雑すぎて方程式が解けない。自分で答えが出せないと不安はさらに倍加する。不安は不健全だ。藁にもすがる思いが心の中に出てくるのだろう。冷静に考えれば極論や誇張であったりする断定的な他人の意見に染まりそうになったりもする。
わたしの危機対応計画
『なぜか仕事ができる人の「成長のルール」』
不安を鎮めるために、これからの危機対応について、自分なりに結論を出そうと考えた。ようやく結論が出た。それ以降、心安らかに今の仕事に集中することが可能になってきた。心が安まると体調も良くなり、希望の光が漠然と見えてくるような気すらする。
じゃあ、何が「わたしの危機対応計画」か? きわめてシンプルである。第1に、最悪に備えておく。生活を律して、事業もコストを下げて運営し、個人・ビジネスの損益分岐点を大幅に下げておく。そして、自己資本部分を厚めにする努力をする。そのためには、しっかり働きしっかり稼ぐ。迷い無く、目の前の仕事に全力投球することでこれは成し遂げられそうだ。そう、いざというときのダウンサイドの固めをするのである。しかし、これだけではやる気が出ない。自分の人生が、危機に備えてあくせく生きることだけでは、どうしてもやる気に火がつかない。
毎日、1ミリ成長する
第2に決めたこと。それは、毎日1ミリ、いや、1ナノミリで良いから、自分が成長すること。今更ながらに、自分が一生成長し続けることが1番自分を楽しく、心豊かにすることに気が付いた。考えてみると、何年かに1度、ビジネス・パーソンとして、プロフェッショナルとして、人として悩み道が分からなくなる。長考、熟慮の末に、いつでも最後にたどり着くのは「毎日、自分が成長する」という方針の再確認であった。今回も、結局そこに戻ってしまった。
金も、時間も人脈も、自分の成長についてくるもの
世の中で、ビジネス・パーソンとしての成功を追いかけながら、「どうしたら大金を作れるか? 」「どうしたら、もっと余裕を持てるように時間が作れるか? 」「どうしら華麗な人脈を誇れるようになるか? 」そんな悩みに心をとらわれることも多い。わたしも、時々立ち止まって、そういう悩みにとらわれた。
しかし、自分の過去を反すうしてみても、わたしの場合は、「金を追いかけたときは、必ず金は逃げていった」「テクニックで時間を産み出そうとすると、仕事品質が不安定になって、結局、時間も逃げていった」「営業スマイルで人脈拡大にいそしんでも、名刺は増えるが、心を割ってつきあえるビジネス・パートナー級の人脈は全くできなかった」ことは、明々白々だった。
金、時間、人脈の充実が感じられた時は、自分がはっきりと成長できていたときだけだった。自分が努力でできること。それは自分の成長だけしかない。自分が成長すると、高層ビルのシースルー・エレベーターにでも乗っているように、上に上るたびに大きく見えてくる景色も変わる。
わたしはもともと自分が生きるため、自分の自己顕示欲やエゴを満足させるために一生懸命競争に立ち向かって働いている、と自分が成長の壁にぶち当たる。他者を巻き込めないからだ。他者をマネジメントするための色々なテクニックを学び、実践してみるが改善できない。
そして気が付く。自分の心の持ちようを変えなければいけないことを。他者の幸せを手助けするのがわたしの仕事であることに気が付いた。そうしたら、自分のエゴにがんじがらめにされた自分が変わってきた。確実に一歩成長した手応えを感じた。仕事は、順調に回り出す。チームでの仕事がうまくいくようになり時間的余裕にも恵まれ、新しい仲間に恵まれ、報酬にも不満が無くなった。自分のことにこだわりすぎた自分が消え去っていた。
「実力派あまのじゃく」のすすめ
自分成長の目標は何か? 漠然たる目標で構わないと思う。自分のスタイルで、自分が良いと思った風に、自分だからできる方法で仕事をするようになる。それがわたしの目標である。しかし、そのためにはビジネス界で、皆が常識としている基本的なビジネス・スキルを理解しておくのは必要条件である。しかし、世の中で大事だといわれるビジネス・スキルを学ぶだけでは、自分の価値は上がらない。
「わたしも同じ」という模倣戦略で企業が勝ち続けるのが難しいのと一緒だ。自分だからこその付加価値を考え、産み出し続ける能力を身につけなければならない。大胆で柔軟な発想力に溢れた頭にならなくてはならない。そう、あまのじゃく能力だ。わたしは、ビジネス・パーソンの成長の目標を、基本のビジネス・スキルは身につけて、かつ自分なりの差別化のできる人材という意味で「実力派あまのじゃく」と名付けている。
この先の見えにくい、放っておけば不安に頭が占領される空気のなかで、是非前向きに、一歩一歩、自分のビジネス・パーソンとしての人生を歩んでいってほしい。そのためには、(1)ダウンサイドの貯めを作ることと同時に、(2)アップサイドは、自分を毎日成長させること。それは、良識あるビジネス・パーソンとしての修練を経た上で、自分の独自の色の出せることである。毎日、何かを学んでいこう。あなたの成長は、あなたを癒やしてくれるから。皆さんの成長のためのやさしいガイドブックとして「成長のルール」を出版した。まずは、軽く手にとってもらいたい。