
メモは「捨てるために書く」。能動的な自分になる「メモの書き方~捨て方」とは?
ビジネスパーソンにとってメモは必須。しかし、そのメモをどのように取るかを可視化したものは存在していなかった。まじめにメモを取っていてもダメサラリーマンだった著者が研究し、たどりついた「捨てメモ」で可能性が広がった。
わたしはうだつの上がらなかった意見の言えないサラリーマンでした。しかし仕事はとてもまじめで、誰よりもメモ魔でしたし、タスクは漏れなく細かくパソコンに付箋をべたべた貼っていましたし、勉強会に参加しても誰よりもノートにホワイトボードに書かれたことを漏らさず書いていました。
そうです。
・メモ魔であり
・タスクを漏らさず付箋にメモする達人であり
・勉強会や会議ではホワイトボードの内容を漏らさず書く。
まさに、日本人が見本とする学校で教わった通りのメモスペシャリストだったのです。
ですが、どうでしょう。
まじめに仕事をしても成果を出せるどころか、自分の意見も言えない、アイデアも出せないとダメサラリーマンのレッテルを貼られてしまいます。
そんな中、ある日の会議でのメモのとり方を変えてみたら意外なことが起こりました。本書にもありますが、役員会議で議事録を取る際に自分の意見をメモしてみたのです。そうしたら、役員の前で自然と発言している自分がいました。
そしてその日から、ひょっとして従来善しとされていたメモの取り方が、わたしを受身にしている原因ではないかと思うようになりました。そして上司のメモの取り方、年収が高い人のメモの取り方、年収が低い人のメモの取り方を自分なりに研究したところ、メモの書き方から書いた後の対処の方法で、ある共通点を発見しました。それを体系化したのが、「捨てメモ」です。
エグゼクティブは、メモをとる際に、3つの捨て方(「捨てメモ」3つの「捨てる3原則」)を意識していることに気付きました。
では、3つの「捨てる三原則」とは何なのか? そこから説明します。
(1)メモする前に情報を捨てる
物でも情報でも、経営資源として豊富に必要だと思いがちですが、最低限のものだけ残し、それ以外はどんどん捨てると、わざわざ整理しなくてもいいですし、捨てる意識をはっきりさせれば、記憶の定着度や書いたことへの意識が違ってきます。
つまり、メモする前に情報を捨てるということです。ポイントを絞ってメモする。例えば、何かの本を読んだ際に、すべての内容をメモしたり、記憶したりするのはほとんど不可能です。しかし、自分が響いた言葉や何かその時点で参考になったことだけ書き記せば、全部を覚えるよりも、あなたが本当に知りたかった、得たかった情報を深く自分のものにすることが出来ます。
最近トニーシェイ著ザッポス伝説を読みましたが、その一説に「人は長続きする幸福感をもたらしてくれるものを見抜くのがとても下手だということが分かった」というトニーシェイの言葉が出てきます。わたしは、この言葉に衝撃を受けました。
ビジネスにおいて勝ち負けが常だった社会で、彼はビジネスを通じて社員や関わるすべての人に幸福を味わって欲しいと思い、幸せとは何かを追求します。宝くじをあてても幸福になれない人の理由を調査したり、さまざまなモチベーション施策を行っていろんなことを調べます。
その1つとして「ワォ」体験やザッポスのコアバリューが生まれてきたのですが、普通にザッポス伝説を読んでメモするだけだと、10個のコアバリューや「ワォ」体験にフォーカスされがちです。しかし、わたしの経験上、結果的に生まれた成功ノウハウを記録して覚えてもうまくいったことがなかったので、今回はあえて「ワォ」体験や10個のコアバリューの詳細はあえてメモせずに、先ほどの一説を書きました。
なのでわたしは、なぜ彼がコアバリューや「ワォ」体験を重要視するのか? その背景と仕掛けに興味がありました。そこには、人は幸福を見抜く力が欠けているのでそれを補う仕掛けを自分の会社に当てはめて考えなさい、と書いてありましいた。
それがこの一説ですが、これだけ書いて覚えておけば、わたしも彼と同じような気持ちのまま、自分の会社に置き換えて幸福を継続させる工夫を常に考えるようになりました。
そうなると、コアバリューを忘れてもたいして問題ないことに気付きます。
こうして自分が何を得たいのかを考えながら、多くの情報を捨てて、ポイントを書くと今までの何倍も本の中身が身に付いて自分の資産になります。
このようにたったの一文をメモしておくだけでも、自分が知りたかった内容から派生して芋づる式に詳しい内容を思い出せたりするものです。効果的ですので、思い切ってムダを捨て、本当に必要な情報だけをメモしてみましょう。
この感覚は、フォトリーディングやマインドマップに似ていると言う人もいます。欲張らず、必要な情報だけ読む、必要なキーワードだけ書く、ということです。
「きれいに書く欲」を捨てるための“さかなの法則”
(2)「きれいに書く欲」を捨てるための“さかなの法則”
「きれいに書く欲」を捨てる。つまり、メモすることに時間をかけすぎないということです。
このときに意識するのが“さかなの法則”です。
・さっと
・カタカナで
・なぐり書き
いかがでしょう?
しかしなぜ、メモに時間をかけてはいけないのか? それは仕事をするうえでもっとも重要な「自分で考える」という行為を放棄してしまっているからです。
聞いた話をそのままメモしているだけでは、何も考えていません。さかなの法則で書けば、「時間」も、「頭の中」も、「紙の上」も、余白ができます。
それを、「考える」という大切な作業に使うことができるわけです。
聞いた内容よりも、そこから何を感じたのか、自分がどう行動するかなど考えたことをメモすべきなのです。
(3)メモそのものを捨てる
メモすることで一旦忘れ、別のことに集中する、というのはすごく大事な考え方です。しかしそのせいで、そのメモを放置してしまい、ずるずると行動が先延ばしになってしまっては、メモした意味がありません。
パソコンのモニターの周りに付箋紙がたくさん貼り付けられて、大事な用件を見落としてしまうことがありませんか? そこで、こう考えることが大切です。
「メモの賞味期限は48時間と心得よ」
つまり、捨てる!と決めるということです。これにより、覚えられたり、行動ができるようになるわけです。
これは日本マクドナルドの原田社長の手帳術にも書かれているのですが、
「浮かんだアイデアは覚えるのでメモ帳は要りません。書くと安心して忘れてしまうでしょう。それだと、メモ帳を失くしたらそれで終わりではないですか。だったら気合を入れて記憶した方がよっぽど安心できます。たとえど忘れしても、意味のあるアイデアなら、いざというときには必ず思い出せるものです。」(「激務をこなす経営トップ直伝の手帳術」より)
アイデアマンの原田社長も「捨てメモ」と同じ原理でアイデアを生み出しているようです。
では、今主流のデジタルメモはどうなのか? 本書ではあえてデジタルメモの記述は省きました。しかし、デジタルメモも同様で、例えば、Evernoteに何でも放り込むのは良いのですが、それを生かしているかが問題です。生かさない情報を、毎日取り込んで、時間をかけて整理していても意味がありません。
「いつか使うかも? 」のために、どれだけの時間を費やすのでしょうか?
ここでも捨てメモです。まず情報を捨て、取り込む情報を絞ってしまえば、タグを付けたりノートブックに整理したりする手間も減ります。Webサイトなどの「あとで読む」と思った情報は、読まなくてもたいてい済むことが多いのです。
「きれいに書く欲」はデジタルメモでも不要でしょう。取り込む情報を、わざわざキレイに整理するのは時間の無駄です。内容が分かれば良い、ということがほとんどではないでしょうか。後日ほとんど見直すことが無いならなおさらです。
デジタル情報のすべては捨てられないかもしれませんし、特に捨てなくてもいいかもしれません。しかし、読んだメルマガ、いらないファイル、写真など捨てられるものは多く、捨てたらすっきりします。
意外に思うかもしれませんが、先日写真家の友人が過去の写真ファイルがすべて故障で消えてショックだったけど、無くなったら心が軽くなって、必要な写真を撮る意識が芽生えたので、よかったと言っていました。
残して、「あとで」と先延ばしにするなら、「今読んで、捨てる!」のほうが何倍も成果が出せます。日本人には「もったいない」精神があるからか「捨てない習慣」があるのでしょうか。しかし、「捨てる」を意識するだけで、新たな可能性は無限に開けてきます。是非「捨てメモ」を試してみてください。