
社長のための自分を“ぐんと伸ばす”勉強法ガイド―第4回
日々の経営から学び、積み上げよう
「経営者ブートキャンプ」や社会人経営大学院に参画しての学びは、本格的で体系的なものだ。しかし、時間などの負担を考えれば「意を決しての特異な学習体験に身を投じる」という性格がある。そんなところまで踏み切れない経営者の場合は、日々の経営の実践から自ら「学び」を深めていくほかはない。
ではどうすべきか。私自身は、引退するまでに六つの会社を任されて経営してきた「プロの雇われ社長」だった。その体験から言わせてもらうと、経営者としての実力を高めていくためには、強くなっておかなくてはならない三つの主要な分野がある。以下、述べていこう。
① マーケティング
経営の原点は商売だから、経営者の原点は商売人でなければならないわけだ。マーケティングとは簡単にいうと「自社の商品(サービスも商品)が売れる仕組みを考えること」ということだ。「売れる仕組み」ができて初めて、その先に「儲かる仕組み」が構築される。
顧客に対しての日々のビジネスを通じて、マーケティング=「売れる仕組み」を考えるヒントにいつもアンテナを張っておこう。その際の考え方として、私は、「顧客にとって“不”のつく言葉を探せ」とよく言っている。“不”のつく言葉とは、たとえば次のようなものだ。
不便/不満/不足/不都合 /不安/不信/不可能/不良(品)/不利/不詳/不手際
顧客や市場側で起こっているこれらの“不”がつく事象に気づき、それらを軽減・解決できる「仕組み」を考えつくことが、成功するマーケティングの第一歩である。マーケティングはセオリー体系としてよく整理されている。入門書などの書物から学んでもよいし、一日から数回にわたるセミナーも盛んに開かれている。経営者がいまからでも独学できる分野である。
②組織の最有効化
「売れる仕組み」は、「外(顧客、市場)」に対して構築するものと、「中」に築き上げるものがある。会社の「中」に仕込む「売れる仕組み」が組織というわけだ。自身が先頭に立って引っ張る社長は多いが、組織や権限委譲などを考えずに展開するやり方は、社員数が二〇名ほどになると限界に近くなる。三〇名になると、完全に効率が悪くなる。
そうならないよう、社長は自社にとって有効な組織構成を考えなくてはならないのだが、世に出ている組織論の書物などは大会社・大組織を念頭に置いて書かれたものが大半で、小規模会社の組織にはそぐわない。
私は、組織に関しては「信頼できる少数の個人から学ぶ」のがよいと考えており、「社長は社内に“同志幹部”を一人つくれ」と勧めている。信頼できる特定の幹部と徹底的に、かつ頻繁に自社の効率のことを話し合いながら、組織に関する知見を深めていく。現組織の改変や重要な人事案をシミュレーションしながら議論する。
あるいは外部に相談できる先輩経営者や元経営者を見つけて、「社外メンター」をお願いする。この場合は、仕事上の関係がない人物のほうがよいだろう。
③戦略の立案力
個人商店から脱皮して、組織でビジネスを動かしていくのが効率的だが、うまく指揮していくためには、社長自身が経営戦略を立てられなければならない。戦略なき組織は右往左往するばかりで機能できない。
戦略の立案法を独習することは難しい。拙著で恐縮だが『超実践的経営戦略メソッド』(日本実業出版社刊)を参考にしていただきたい。戦略カードを駆使して各社独自の経営戦略が立てられるように書かれている。